口腔異常感症について(5)治療法は?

唾液の分泌量や性状は正常範囲内、舌乳頭の萎縮や亜鉛不足もない方が多く、歯科や耳鼻科、内科を受診しても異常なしという説明される患者さんがほとんどです。治療も、うがい薬や漢方薬の処方、マウスピースの装着などが試されることがありますが、効果はないか、あってもはっきりしないことが多く、歯科医も対処に困ることがしばしばです。

前回、原因が何らかの脳内の機能のアンバランスから生じていると考えられているなどとご説明しました。そのような原因を考えれば、口腔内への対症療法的な処方では効果は期待できず、やはり脳に効く薬剤での治療が必要になることがご理解頂けるでしょう。

したがいまして、舌痛症や非定型歯痛などお口の痛みの症状と治療法はほぼ同様なのですが、痛みのそれとはやや毛色が異なるお薬が効果がある場合が多いようです。ただし、この症状にこのお薬というような確立されたものではありません。患者さんと合う薬を一緒に探していきながらになりますが、症状も痛みに比べしつこく治りにくい場合が多く、治療期間も長くなる方が多いようです。

 

患者さんには、当初の症状の半分になることを目標にしましょうとお伝えします。症状の完遂というより患者さんが症状に上手く付き合っていけるような医療者側の援助的な姿勢が求められます。また、定期的な口腔内の丹念な観察が欠かせませんが、症状の有無を議論しても無意味で、患者さんの苦痛を肯定ししっかりと受け止めることが大切です。

異物感が強く奇異でグロテスクな場合や、症状が口腔外にも存在する場合は、精神科で言うセネストパチーに近い状態と考えられ、場合によっては専門医と連携して治療に当たっていきます。