原因のわからない舌痛症

原因のわからない舌痛症

舌痛症の治療をしたけれど、症状が改善されないかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

舌痛の原因が明らかで、その原因に伴って起こるものを二次性の舌痛症と呼ばれますが、「口を見ても原因が見つからない」と言われた、「通常の治療はやってみた」けど舌の痛みは取れないなど、”原因のわからない舌痛症”は、”一次性の舌痛症”とか”真正の舌痛症”とも呼ばれています。

一般的に”舌痛症”とは“原因のわからない舌痛症”、すなわち一次性の舌痛症を指します。当院はそのような”原因のわからない舌痛症”に対し専門的に治療を行なっています。

※ここで紹介する舌痛症は、改善されない舌の痛みにフォーカスしています。広域でいう舌痛症についてはこちらをお読み下さい。

なぜ”原因のわからない舌痛症”になるのか?

メンタルの影響・ホルモンの異常・神経痛の一種・口腔内の幻の痛み・炎症の一種など様々なことが言われて来ましたが、未だ病因は特定できていません。

近年は、舌痛症を神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)の神経痛の一種とらえる考えが支持されてきています。神経のなかでも抹消だけではなく、中枢が大きく関与していると考えられています。

とはいえ、原因を一つに特定することはできず、一般的には個々の症例ごとに様々な原因が複合して影響していると思われます。

舌痛症の約6割の方は単純に痛み以外に、味覚の異常やお口の乾燥感など口腔内の触覚や 味覚にも異常感を訴えます。そのような症状の多様性は、複数の原因が併存していることの現れと考えられます。

舌痛症チェックリスト

舌や唇、上あごなどお口の粘膜のヒリヒリ、ピリピリとした痛みが3か月から6か月 続いている。

舌に痛みが出る器質的な病気が否定される。カンジダ症、口腔乾燥症、口腔がんなど 口腔粘膜疾患や、貧血など内科疾患、歯や被せ物の不具合などがない。

症状に変動性がある。朝より夕方や夜の方が悪い。日によって違う。場所も移動する ことがある。

食事も摂取できる。寝ている間は大丈夫。何かに熱中するとまぎれる。

お口の乾燥感がある。苦いとか辛いなど味覚の障害がある。口がザラザラ、ベトベト したり、渋柿の渋など、異常感覚がある。

アメやガムを口にすると和らぐ。

ビタミン剤、痛み止め、軟こう、うがい薬が効かない。

歯科治療がきっかけとなることが多い。義歯や被せ物が入れ難い。

真面目で几帳面な、中高年の女性。

原因のわからない舌痛症”は精神的なもの?

精神的なもの”などと解釈されがちですが、実際はうつ病など精神科疾患に患っていた方は2割程度で、重篤な症状の方は稀です。

歯科治療がきっかけになった方も多いのですが、あくまで「きっかけ」であって、「原因」ではありません。

誤解されやすいので説明を追加しておきます。あそこの歯医者さんに行ってからと考えていらっしゃる方もいますが、たまたま「きっかけ」になっただけですので、歯科の先生の治療が「原因」だったというように結び付けないようにしてください。

よくお聞きすると、むしろ同じ頃に、家事や仕事が忙しかった、疲れがたまっていた、風邪や病気になったころだった、睡眠不足が続いていた、など心身の疲労や、体調に絡んだ問題、その他、家庭や仕事でのストレス、など他の「きっかけ」があった方も多いようです。

舌痛症の治療法

お薬での治療

薬物療法

現在では舌痛症には、主に抗うつ薬が使用されています。うつなどメンタルへの効果ではなく、慢性的な痛み(慢性疼痛)そのものに対する効果をねらったものです。お口の症状に抗うつ薬などと聞くと、強い抵抗感を抱く方が少なくないと思いますが、実は、抗うつ薬は、腰痛などの慢性疼痛や、片頭痛の予防薬としても、世界中で広く使われているのです。

原因でご説明したように、舌痛症が神経痛の一種で、脳の機能のバランスが崩れているためであると考えられており、理論的なことからも抗うつ薬の有効性が説明できます。

服用を開始してお薬が合ってくると、約7割の方が1カ月くらいで痛みが改善していきます。さらに、その後も3~6カ月程度は、痛みや不快感のぶり返しがないよう服用を続けます。

症状が落ち着けば、徐々に減量して止めていくことができます。治療期間としては少なくとも半年間は必要で、多くの方が1年程度は通院を継続されています。

我々の調査では、お薬を継続できれば7割の方は改善します。基本的には治る可能性の高い病気ですので、ためらわずご相談されることをお勧めします。

生活指導・カウンセリング

生活指導・カウンセリング

実際に治療に入る際、ご病気の説明にじっくり時間をかけます。「原因」については、特に歯の治療が原因と考えている患者さんは、特に重要です。ご病気の説明を十分に受けられるだけで、「安心感から、帰りの電車の中で症状がよくなってしまった」と仰られる方もいます。

食事が摂れない、夜も眠れないといったことはまれで、元気な方も多く、外見からほとんど判断できません。

周囲の方から、「気にしすぎ」、「メンタルの病気じゃないか」などと思われがちですが、 決してそうではありません。

「どこの病院でもなんともないといわれる」だけではなく、「家族や友達にも理解されなかったのでつらかったです」と仰られる方も少なくありません。

特に高齢の患者さんにつきましては、ご家族が付き添っていただき、一緒にご説明を聞いて頂くようお願いしています。十分な睡眠、食事など規則正しい生活、心身の疲労をためない、適度な運動をするといった、ごく一般的なものです。

これらが、お口の痛みや感覚の乱れにも影響すると考えているのですが、案外できいない方も多いものです。あまりに辛いときは、可能ならご家族に家事の分担を頼んでみるとよいでしょう。こうしたご家族のサポートも回復によい効果をもたらすとされています。

当院は舌痛症を專門とした治療を行なっています。

舌痛症は何科を受診するのか?でも御紹介しましたが、当院では”原因のわからない舌痛症”に専門的な治療を行なっていますが、原因の明らかな二次性の舌痛症の治療も行っています。必要に応じて医科各科とも連携を行なっており、歯科以外に改善しなればならない場合は、信頼できる医療機関を御紹介して連携して治療を行います。

舌痛症なのかもしれない?どこに受診したらいいかわからない?と思ったら、そのままにせずにお気軽にご相談下さい。当院では、御電話とメールの両方で無料相談を承っております。