対処行動によって口腔異常感症患者の脳血流がどのように変化するか
皆さんこんにちは。
ご無沙汰をしておりましてすみません。
当院に非常勤で勤務されている福岡歯科大学高齢者歯科の梅崎陽二朗先生から「Dentalism(デンタリズム)」という歯科業界のコミュニケーションマガジンに、ご自身の研究が紹介されると聞きました。
大変興味深い内容ですので一足先にご案内させていただきます。リンク先がわかり次第こちらに追記します。
例のごとく論文紹介になります。
対処行動によって口腔異常感症患者の脳血流がどのように変化するかを分析した研究です。
脳血流は、微量の放射性薬剤を注射して撮影する特殊な画像検査(脳血流SPECT)により計測されます。早期の脳梗塞や認知症の診断にも使われるものです。
梅崎先生は、口腔異常感症の患者には脳血流の左右差が見られることがあること、薬物療法や電気けいれん療法で症状が改善すると脳血流の左右差が改善することがあることなどを先行研究で報告してきました。
今回の研究は、対処行動で口腔症状が緩和している際に脳血流がどうなるのかを観察したという内容です。
Alleviation of symptoms and paradoxical brain perfusion shift in oral cenesthopathy: A retrospective neuroimaging study
Yojiro Umezaki ,Haruhiko Motomura , Shigeki Nagamachi , Akira Toyofuku , Trang Thi Huyen Tu , Toru Naito
PMCID: PMC12439041 PMID: 40964425
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12439041/
対処行動とは、「水分摂取、マウスピース装着、ガム咀嚼、キャンディ舐め」といった患者さんが異常感覚を一時的に紛らわせるために行う口腔内の様々な対処法を指します。
研究結果からは、もともと確認されていた右側優位の左右差がむしろ悪化すること、また、視覚処理に関連する脳領域で左右差が顕著化していることなどが示されています。
悪化というより、「異常状態に適応するための脳活動変化」が存在するのでないかと述べています。
舌痛症(口腔灼熱症候群)や非定型歯痛(非歯原性歯痛)の患者さんでも、食事摂取や、飴やガムを口に入れていると一時的に症状が緩和する方がいます。
対処行動とは無関係に思える視覚処理の脳領域での変化ということも興味深いですが、痛みやしびれなど他の歯科心身症の症例でも見られるものなのでしょうか。
まだまだ症例数が少ないようですが、口腔異常感症の病態解明や治療法の進展につながる研究ですので、ぜひ今後に期待したいところです。
院長





