非定型歯痛と舌痛症の併存について(Evaluating Burning Mouth Syndrome as a Comorbidity of Atypical Odontalgia: The Impact on Pain Experiences)

みなさんこんにちは。

今日は、昨年11月に発表された非定型歯痛(AO)と舌痛症(BMS)の併存ついて研究した論文の要旨を紹介します。東京医科歯科大学歯科心身医学分野大学院のチャン先生と三浦先生がまとめた論文です。非定型歯痛(AO)と舌痛症(BMS)による臨床的な特徴の違い、精神疾患の合併の影響などが良くわかる大変参考になる内容です。

 

タイトル: Evaluating Burning Mouth Syndrome as a Comorbidity of Atypical Odontalgia: The Impact on Pain Experiences.

 

【緒言】

本研究では、非定型歯痛(Atypical Odontalgia; AO)のみの患者と、舌痛症(Burning Mouth Syndrome; BMS)とAOを合併する患者、の2群の臨床的特徴と、それぞれに精神疾患の合併が与える影響について調査することを目的とした。
【対象と方法】

2013年から2016年において東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科心身医療外来を初診で訪れたAO患者355名の診療録を回顧的に調査した。355名のうちAOのみを認める群(AO群)は272名、AOに加えて舌痛症を合併している群(AO-BMS群)は83名であった。これらの患者群の性別、年齢、精神疾患の併存の有無、頭痛や睡眠障害の有無ならびに病悩期間、疼痛強度、抑うつ状態について調査した。初診時の疼痛の評価にはShort-Form McGill Pain Questionnaire、うつ状態の評価にはZung Self-Rating Depression Scale(SDS)を用いた。

【結果】

AO群はAO-BMS群と比較して、女性が少なく、平均年齢が若く、睡眠障害の併存が有意に少なかった。AO-BMS群はAO群と比較すると、Short-Form McGill Pain Questionnaireの項目のうち鋭い痛み(sharp)、焼け付くような痛み(hot-burning)、 割れるような痛み(splitting)のスコアが有意に高値を示した。両群ともに精神疾患併存群のほうが併存なし群より睡眠障害を併存している割合が有意に高かった。AO群における精神疾患併存群では睡眠障害に加えてSDSスコアが有意に高値を示した。

【結論】

AO-BMS群とAO群では、異なる臨床的特徴や睡眠の質および痛みの経験を有する。両群ともに精神疾患の併存は、睡眠の質を悪化させる可能性がある。AOとBMSの合併が、より激しい痛みの経験に寄与することを示唆している。

 

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/papr.12647/abstract;jsessionid=16987024DF5F34A80AF085C507282664.f02t04