舌痛症や非定型歯痛など口腔顔面痛の治療薬と心電図QT間隔についての論文(The QTc shortening with amitriptyline may indicate treatment resistance in chronic nonorganic orofacial pain)
みなさんこんにちは。院長です。
東京はまた夏の日差しが戻っておりますが、西日本の豪雨災害が心配ですね。みなさんは、いかがお過ごしでしょうか。
さて、本日は、お口の痛みの治療に使われるお薬と心電図の関係についての論文をご紹介します。
東京医科歯科大学大学院の渡辺毅先生が、以前より研究指導を頂いている向精神薬の副作用に詳しい長嶺敬彦先生のご指導を得ながらまとめたものです。
舌痛症や非定型歯痛など口腔顔面痛の治療に三環系抗うつ薬が良く用いられますが、 副作用として心電図のQT間隔の延長が知られています。
QT間隔が顕著に延長すると、致死性の不整脈を起こす可能性があるため 三環系抗うつ薬を用いる際には心電図に注意することが必要です。
今回の研究では、口腔顔面痛に用いる低用量の三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)では、 致死性の不整脈を起こすようなQT間隔の延長は起きないこと、 むしろ安全な程度のQT間隔の延長がある患者さんでは症状の改善が見られる傾向があることを報告しました。
現在、その他の薬のQT間隔への影響や治療効果との関連にも注目して研究を行っております。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cnpt/9/0/9_12/_article/-char/en
前回、舌痛症の治療と唾液の研究を取り上げましたが、このような薬の副作用に注目した研究がさらに進むことで、舌痛症や非定型歯痛など歯科心身症の治療がさらに改善、発展されることが期待されます。